引越告知

このブログは引っ越しました。今後、更新は新ブログのみになります。過去記事の一部を新ブログにコピーしましたが、このブログは今後も残します。また、政治と理論研究会のブログを削除し、新ブログに統合しました。今後は研究会告知等も新ブログで行ってい…

賢人政治批判のパラドクス――八代尚宏『新自由主義の復権』

八代尚宏『新自由主義の復権――日本経済はなぜ停滞しているのか』(中公新書、2011年)は、経済財政諮問会議などで活躍した著名な経済学者による政治的パンフレットである。その主たる眼目は、「官から民へ」「民間にできることは民間に」をスローガンとした…

ステークホルダー民主主義の終焉?

池田信夫さんのブログで「ステークホルダー民主主義」が叩かれていて、それに濱口桂一郎さんが反応しています。終焉も何も、まだ始まってもいない気がするわけですが、備忘として書き留めておきます。

研究会「政治/理論――政治的なものについて語ること」

来たる4月21日(土)の17:00から、市ヶ谷の法政大学大学院棟で研究会を行います。報告者は私1人で、報告題目は本記事タイトル通りです。私が所属する政治学研究科政治学専攻が発行する専攻誌、『政治をめぐって』に掲載予定の内容となります。 目次 はじめに…

利害関係者と当事者

以下、拙稿『利害関係理論の基礎』第1章第5節2「利害関係者と当事者」(2008年1月)から、ほぼ全文に近い引用。

震災という不正義と、2つのメタ・ガバナンス

まもなく私たちは、3月11日という日付を再び迎える。去年のその日は、大きな地震と津波があった。人が沢山死んだ。たくさん、たくさん、死んだ。同じ日に原子炉が壊れ、放射性物質が漏れた。私たちの生活は見えない怖れに汚染され、日常性はひしゃげた。 自…

3・11文献リスト

震災と原発について私が読んだものの中から、菅原琢氏のブログおよび「シノドス・ジャーナルによる、3.11関連記事まとめ」に挙がっていないものを載せておきます。国・自治体のサイトも、必ずしも全部読んだわけではありませんが、挙げておきます。個人的に…

原発と直接投票――ステークホルダーの観点から

私は政治理論を専攻していて、とりわけ「ステークホルダー」(利害関係者)という概念をテーマにした研究を行っています。企業の意思決定に対するステークホルダーが株主だけでない従業員や消費者、地域社会、環境などを含むように、政治も、法的な権限に根…

2011年の3冊

A3作者: 森達也出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2010/11/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 89回この商品を含むブログ (30件) を見る地方政府の民主主義 -- 財政資源の制約と地方政府の政策選択作者: 砂原庸介出版社/メーカー: 有斐…

民主党の組織と政策

民主党の組織と政策作者: 上神貴佳/堤英敬出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2011/09/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 66回この商品を含むブログ (18件) を見る 今夏、書籍としてはほぼ初と言っていい、民主党についての実証的研究が出版され…

哲学的想像力の滞留――東浩紀『一般意志2.0』

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル作者: 東浩紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/22メディア: 新書購入: 14人 クリック: 581回この商品を含むブログ (164件) を見る 東浩紀『一般意志2.0−−ルソー、フロイト、グーグル』(講談社、2011年)を強…

掲載告知:「権力と自由――「自然の暴力」についての政治学」

論文掲載のお知らせです。10月刊行の『法政大学 大学院紀要』第67号(91-111頁)に、「権力と自由――「自然の暴力」についての政治学」と題する拙論が掲載されました。内容は、修論の権力論(第1章第3節)と「自由の終焉」の一部(こちらから読めます)を合体…

「コンセンサス」はいつ得られるのか――3つの条件

政治・政策に関する言説に触れていると、「この問題については国民的な議論が必要である」とか「まだコンセンサスが得られているとは言えない」などといった言い回しを、よく耳にします。ところが、どうなれば国民的な議論が行われたことになり、どこまで行…

かかわりあいの政治学8――「チーム」はなぜ愛されるのか

野球やサッカーなどのプロスポーツを愛好する人々には、決まって「ひいき」にしているチームがあるものだ。プロ野球であれば阪神タイガース、Jリーグであれば浦和レッズが、それぞれ熱烈なファン(サポーター)を多く持つことで有名だろう。こうしたファンの…

馬渕浩二「シュティルナー『唯一者とその所有』」について

近代哲学の名著 - デカルトからマルクスまでの24冊 (中公新書)作者: 熊野純彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/05/25メディア: 新書 クリック: 11回この商品を含むブログ (8件) を見る 最近出た熊野純彦(編)『近代哲学の名著』に、馬渕浩二氏が…

差別はなぜ許されないか――区別との区別

「風評被害」の虚飾の下に、差別が拡がっています。差別は昨日今日、生まれたのではありません。レイシズムもセクシズムも、宗教差別も出生地差別も、疾病・障害や能力その他の特徴による差別も、過去から現在まで一貫して存在しているものです。起きたこと…

誰が都知事を選ぶべきか

進学について激励を頂いた方々、改めてありがとうございました。さて、ごく個人的なことをいつまでも最新記事に掲げておくのはどうも気恥ずかしいので、最近考えたことを簡単に。 以前「私たちはなぜアメリカ大統領を選べないのか」といった論点について述べ…

また始まるために

唐突ですが、本年4月から私の身分関係に大きな変動が生じたため、簡単にご報告致します。 法政大学大学院の政治学研究科博士後期課程に入学致しました。 私は2008年3月に修士課程を修了後、塾講師を生業にしながら個人的な研究を進めて参りましたが、再び大…

来るべきステークホルダーへの応答――政治の配分的側面と構成的側面

過去は到来する。未来は構成される。私たちが構成する未来が、誰かにとっての過去として、決定された形で到来するのである。原子力発電所と、それがもたらすコストとリスクについての思考は、私たちの視野に、ヒトの一生を超えるタイムスパンを要求する。も…

震える思考

twitterから。

政治的なものと公共的なもの――権力と期待

政治的であることと非政治的であること われわれの出発点を何処に置こう。「個人的なことは政治的である!」――よろしい。では、個人的なことの全てが政治的であるか? あるいは然り、あるいは否。「全てがそう、とは言わないまでも、全てが政治的にはなりう…

機能美について

批評という営みについて私はよく知らないが、ある作品を批評してその価値を測るときの基準としては、まず(1)現実との結び付き(アクチュアリティ)と、それから、(2)何らかの可能性についての展望、ヴィジョンを与えてくれるようなインスピレーション、…

熟議的な熟議と、そうではないもの

日々不勉強を沁み込ませている身では、専門的なことについて何かを言うということははばかられるのですが、しかしそれでも感じたり考えたりしていることを折々に吐き出しておかないと、いつまで経っても何も言えないことになるので、最近細切れに書き付けて…

最近出た本の中から

常日頃、政治学系の本がブログ界隈で紹介される機会は相対的に少ないと感じているので、優れた新刊などは出来るだけ採り上げたいと思っています。簡単な書評や紹介を書ければいいと思っているのですが、ブログに揚げるとなると何だか多少なりともエネルギー…

デモクラシーを可能にする「オウム的なもの」――森達也『A3』から

A3作者: 森達也出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2010/11/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 89回この商品を含むブログ (30件) を見る オウム側の視点から日本社会を映した『A』『A2』の監督・著者による、『月刊PLAYBOY』連載(2005…

2010年にしたこと

少し早いですが、今月はもう書くあてが無いので、2010年最後の記事です。

ステークホルダーの両義性――あるいは政治主体としてのステークホルダーについて

数ヶ月前に私は、「ステークホルダー・デモクラシーの可能性」なる文章を公表しました。十分だったかどうかは分かりませんが、そこでは、経営学でのstakeholder theoryの文脈を押さえつつ、stakeとstakeholderの語源・語義を簡単に整理して、「公共化された…

代表についてのtweet

代表についての自分のtweetをまとめておく。分人民主主義や民主主義/一般意志2.0の議論とも関連するので、そちら関係のtweetも後半に載せておくが、時期的には前後する形になる。

クジ引きは民主的か?

クジ引きは民主的だと言われる。デモクラシーにとっての理想は、人民の中からクジで選ばれた人々が公職を担当することだと考えている人は多い。古代ギリシアの実例に範を採りながら、クジ引きこそ政治的平等と人民主権を究極的に実現する方法だと見なすので…

「暴力装置」イコール問題発言の構図

仙谷氏「自衛隊は暴力装置」 抗議受け謝罪、首相も陳謝 http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010111801000326.html ツイッターでは政治家が政治学/社会学における初歩の初歩も知らないのか、として批判者を問題視する反応が(私のタイムラインでは)多かった…