2006-01-01から1年間の記事一覧

萱野国家論の補足

2006/12/21(木) 17:52:34 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-299.html 以前、萱野稔人『カネと暴力の系譜学』(河出書房新社、2006年)を読み、思うところがあったので、萱野の前著『国家とはなにか』(以文社、2005年)をパラパラと読み返していた。そ…

民主主義の練習問題(2)代表制と政党

2006/12/17(日) 13:34:55 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-304.html 造反議員たちの自民党への復党が認められた。国民とメディアにおいては造反議員や自民党執行部の一連の行動について批判の声が強いようである。 元々造反議員とは、小泉総裁時代、…

政治思想史を学ぶ意義とは何か(実践編)

2006/12/10(日) 17:44:54 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-305.html 普段あまり真面目には読んでいないEU労働法政策雑記帳を改めて見ていると、濱口さんが以前厳しくダメ出しした薬師院仁志『日本とフランス 二つの民主主義』とかなり共通する見方で…

政治思想史を学ぶ意義とは何か

2006/12/09(土) 18:58:49 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-301.html これもレポートからの流用。A4一枚ということで30分ぐらいでパパっと書いたもの。書いた当人としてもつまらんなぁと思う内容だけれども、学部生の皆さんが似たようなテーマのレ…

民主主義の練習問題(1)財政民主主義

2006/12/07(木) 21:51:35 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-303.html 道路特定財源を一般財源化するかどうかについて、政治的綱引きが行われている(もう終わったかも)。 相互に対立している主な立場は三つあるとされている。一つ目は道路特定財源が…

公共性の再転換をめぐって

2006/12/06(水) 21:02:28 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-298.html 恥ずかしながら、レポートから流用してみる。ハーバーマスの書評など本来恐れ多いし、後半に関わっては政治思想史と民主主義理論史をもう一度しっかり勉強し直す必要がある。統治機…

『DEATH NOTE』に思想は無い

2006/11/29(水) 23:01:20 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-237.html 過去の連載エントリ「神と正義について」を書く動機の一つとなったのは*1、二つの漫画作品を読んで感じたことであった。ただ、それについては資料が十分に整わず、連載の主題との関…

stakeholder justiceへ

2006/11/26(日) 17:01:23 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-294.html これまで、刑事司法についていくつかのエントリを書いてきた。日付順に並べると、以下である。 ①犯罪被害者保護に一考 ②刑法についての試論 ③修復的司法批判メモ ④刑法39条を擁護…

Aを超えるA

2006/11/16(木) 22:01:20 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-292.html 稲葉さんの長いエントリから、抜粋。 かつての古典的な左翼は、それこそ杉原泰雄がそうであったわけだが、どちらかというと反ないし非・立憲主義的な立場をとっていたわけであり、…

自由としての政治参加と公共性

2006/11/13(月) 15:15:03 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-291.html 大森秀臣『共和主義の法理論』(勁草書房、2006年) 「私的領域において誰にも干渉されない自由」と、「公共の場に出向いて、われわれの法的枠組みを自らの手で創りだす自由」との…

神話的暴力としての民主主義について

2006/11/08(水) 01:29:08 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-290.html 市野川容孝『社会』(岩波書店、2006年)は、「思考のフロンティア」シリーズとしては異例の200頁超の「大作」で、勉強になり、示唆に富む、とても良い本だ。 ただ、若干違和感…

自由主義と民主主義のお勉強

2006/10/31(火) 14:32:03 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-288.html 複数のブログで採り上げられているのを見て、薬師院仁志『日本とフランス 二つの民主主義』(光文社新書、2006年)を読んでみた。すると、ページを繰るたびに物凄く違和感を覚える…

神話が暴かれた後に何をすべきか

2006/10/29(日) 21:16:03 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-288.html 佐藤卓巳『八月十五日の神話』(ちくま新書、2005年) 終戦記念日は八月十五日である。日本政府がポツダム宣言を受諾した八月十四日や、降伏文書の調印が行われた九月二日ではなく……

池内恵をこう批判してはいけない

2006/10/23(月) 21:00:36 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-286.html そういえば、少し前にご紹介いただいた栗田論文(現代思想の方)は最近ざっと目を通した*1。多分もう一つの方が詳細なので本人にとっては言葉が足りていない部分もあるのかもしれな…

民の政治学よ、どこに

2006/10/20(金) 18:14:19 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-285.html こういうことを書いていいのか、よく解らないんだけれども、常日頃思っている漠然とした不満と言うか、不安と言うか、やりきれなさと言うか。 私の先生はいつも、我が大学の政治学…

想像力の欠如への解決策を示せ

2006/10/16(月) 22:56:15 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-284.html 坪井秀人『戦争の記憶をさかのぼる』(ちくま新書、2005年) 人間が「忘れる動物」であることを前提としながら、いかにして過去の戦争の記憶と向き合っていくことができるか。本書…

ポテンシャルからの議論と未来世代の権利

2006/10/12(木) 20:23:38 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-283.html 子どもは将来的に成人となって完全な権利主体となることができるから、動物や自然物とは異なる、という言い方がある。つまり、子どもは権利主体(義務主体)としてのポテンシャルを…

倫理つれづれ話

2006/10/06(金) 19:49:59 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-282.html http://d.hatena.ne.jp/dojin/20060923#p1 上でのコメント欄のやりとりをぼんやりと読みながら思い巡らしてみて、私に言える程度のことを書いてみる。 まず、cruさんの「あらゆる所…

「降りる自由」についての事後的雑感

2006/09/25(月) 16:36:14 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-280.html すでに和哉さんにご指摘をいただいたが、『波状言論S改』の東・鈴木・北田鼎談を読み返してみた。何で忘れていたのだろう。 鼎談の一部は北田のブログにも載っているはずだが、そこ…

責任と自由―3.他者と無関心

2006/09/21(木) 20:46:15 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-279.html 責任について、と言えばということでサルベージ。長いし、未整理だし、主張がまとまっていないし、非常に読みにくいだろうけど、とりあえず。 きはむ: ただ、批判しているわけでは…

責任と自由―2.必要と負担

2006/09/21(木) 20:45:50 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-174.html そう簡単に降りさせないぞ、という主張や取り組みは多い。例えば以下のような主張。 「それは重いからやりたくない」という中学生の言葉は素直なものである。しかし、彼女が担いた…

責任と自由―1.降りる自由

2006/09/21(木) 20:44:23 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-180.html ちょっと前の話をきっかけに、かなり前の話をする。野崎さんが東浩紀のことを「馬鹿げた批評家」、東が唱えた「降りる自由」のことを「下らない」と評しておられる。その意図はそれ…

神と正義について・後書

2006/09/19(火) 22:05:06 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-275.html 連載企画「神と正義について」のリンク一覧を以下に掲げます。「第一部・完」としたのは単にやってみたかっただけのことで、第二部の予定があるわけではありません。少年ジャンプ的…

神と正義について・9

2006/09/17(日) 19:36:59 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-257.html (承前) エゴイズムの正義論 生活は思想に先立つ。この点を前回に確認した。それは、計算可能なもの、利用可能なものこそがまずあるということである。このことは生活が出発点であ…

神と正義について・8

2006/09/15(金) 18:31:41 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-258.html (承前) 思想の相対性と関係の絶対性 「マチウ書試論」を読もう。一般的には、この作品は「思想の相対性」を超える普遍的妥当性を「関係の絶対性」に求めたものとされる。その論理…

神と正義について・7

2006/09/08(金) 15:15:20 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-256.html (承前) みんなのほんとうのさいわいと察知の気体 この連載は相対主義についての検討を出発点としていた。その上で相対主義を乗り越え、普遍的正義の実現に近づくための有力なアプ…

刑事裁判への被害者参加

2006/09/07(木) 13:46:59 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-277.html 忘れないように、一応メモ。 http://www.asahi.com/national/update/0906/TKY200609060437.html 杉浦法相は6日、犯罪被害者が刑事裁判の手続きの中で被告に直接質問したり、民事上…

「やむをえない犠牲」はお前が負え

2006/09/04(月) 17:15:50 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-276.html 従って、この場合は文脈からして、「イラク解放のためのやむをえない犠牲」だとアメリカ兵は言いたかったのだろう。しかし、アメリカ軍の爆弾やミサイルで殺された当人や遺族にとっ…

神と正義について・6

2006/09/01(金) 20:45:40 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-255.html (承前) 正義=神=幽霊のとりつき 否定神学的正義論には正面からは反駁し難いように思える。では、我々はそれを受け入れるべきであるのか。私はそうは思わない。以下、いくつかの…

理論の開放性

2006/08/30(水) 16:24:32 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-272.html しばらく前から私は近代とかポストモダンとかいう話を口にしなくなっている。色々本を読んだり考えたりしていくと、直接の興味関心などはかなり変遷していく。けれども、現在の自分…