2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2008年の3冊

年内はもう書かないと思うので、締めの挨拶を兼ねて、軽く書いておきます。今年はもうポツポツとした書評と「かかわりあい」ぐらいしか書かない予定だったのですが、事情が変わったせいで異様に精力的な更新をする局面に見舞われてしまいました。いつになっ…

かかわりあいの政治学4――連接の長さと権利的優位

(承前) ある晴れた日のこと。私は真っ直ぐな歩道を歩いている。すると、100メートルほど前の横路から出てきた中年女性が、同じ歩道を、こちらに向かって歩いて来る。私も彼女も歩道の建物側を歩いており、徐々に近づいている。私はこの道に入ってからずっ…

保守思想入門

佐伯啓思『自由と民主主義をもうやめる』幻冬舎(幻冬舎新書)、2008年 講演記録の書籍化であり、語り言葉による平易な形で佐伯思想が概観できる内容になっています。論旨にはほとんど賛成できませんが、現今、保守思想や保守主義にはろくな入門書が無いので…

トクヴィル『アメリカのデモクラシー』

A.トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』(第一巻上下・第二巻上下、松本礼二訳、岩波書店(岩波文庫)、2005/2008年)は、アメリカ論として、デモクラシー論として、社会学作品として、政治学作品として、エッセイとして、眩いほどの名著です。10か月に…

アメリカたちの呪縛

少し前にアメリカ思想二冊の書評を書きましたが、その後もアメリカ縛りで以下のようなものを読んでいました。どれも良い本です。 憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)作者: 阿川尚之出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2004/09/16メディア: 新書購入: 2人 ク…