2010-01-01から1年間の記事一覧

2010年にしたこと

少し早いですが、今月はもう書くあてが無いので、2010年最後の記事です。

ステークホルダーの両義性――あるいは政治主体としてのステークホルダーについて

数ヶ月前に私は、「ステークホルダー・デモクラシーの可能性」なる文章を公表しました。十分だったかどうかは分かりませんが、そこでは、経営学でのstakeholder theoryの文脈を押さえつつ、stakeとstakeholderの語源・語義を簡単に整理して、「公共化された…

代表についてのtweet

代表についての自分のtweetをまとめておく。分人民主主義や民主主義/一般意志2.0の議論とも関連するので、そちら関係のtweetも後半に載せておくが、時期的には前後する形になる。

クジ引きは民主的か?

クジ引きは民主的だと言われる。デモクラシーにとっての理想は、人民の中からクジで選ばれた人々が公職を担当することだと考えている人は多い。古代ギリシアの実例に範を採りながら、クジ引きこそ政治的平等と人民主権を究極的に実現する方法だと見なすので…

「暴力装置」イコール問題発言の構図

仙谷氏「自衛隊は暴力装置」 抗議受け謝罪、首相も陳謝 http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010111801000326.html ツイッターでは政治家が政治学/社会学における初歩の初歩も知らないのか、として批判者を問題視する反応が(私のタイムラインでは)多かった…

アナーキーの3つの意味

「アナーキー」の概念には、その語義・用法からして、おおよそ3つの意味が見出せる。第一の意味は、(1)無秩序である。これは秩序が失われた状態として否定的に言及される一般的用法のほか、特にヒエラルキーと呼ばれるような階統的な秩序の反対概念として…

熟議批判の嘘と本当

池田信夫氏のブログは普段読まないのですが、さる人に記事を紹介されたので以下を読みました。せっかくなので、簡単にコメントをしておきます。 熟議という「便利な嘘」 - 池田信夫blog http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51491223.html 話題になって…

ステークホルダー・スタディーズのために

先月末に「ステークホルダー・デモクラシーの可能性」が掲載されたことを機として、自分用の整理も兼ね、ステークホルダー研究(SHS)用のメモ書きを作っておきます。かなり雑駁なものなので後で足すかもしれませんが、ひとまず公開しておきます。

シュティルナー関連のつぶやき

これまでにtwitterで書いたシュティルナー関連のつぶやきを、備忘の為にまとめておきます。既にブログに引っ張ってきたことがあるものや、ほとんど意味がないつぶやきは省いていますが、だからといって以下に転載するつぶやきが大した内容を持っているわけで…

掲載告知:ステークホルダー・デモクラシーの可能性

お知らせです。 『政策空間』さんに、「ステークホルダー・デモクラシーの可能性」と題する拙論が掲載されました。 日本語の「利害関係者」には尽くされない“stakeholder”ないし“stake”の意味を具体例と語源に基づきつつ説明し、近年それが重視されるようにな…

掲載告知:「確率・亡霊・唯一者」

昨日までの4日間に分割掲載した論文「確率・亡霊・唯一者」を、pdfファイルでHPに公開しました。以下のページから閲覧・ダウンロードできます。http://sites.google.com/site/politicaltheoryofegoism/works ブログでは省略した注が読めますので、是非ご利用…

確率・亡霊・唯一者――政治学的想像力のために(4・完)

目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来(本記事)

確率・亡霊・唯一者――政治学的想像力のために(3)

目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性(本記事) 4.政治と未来

確率・亡霊・唯一者――政治学的想像力のために(2)

目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性(本記事) 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来

確率・亡霊・唯一者――政治学的想像力のために(1)

目次 1.確率と亡霊(本記事) 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来

掲載予告:「確率・亡霊・唯一者」

お知らせです。 明日、9月14日から17日までの4日間、私の未公開論文を分割して、本ブログに掲載します。全4章の論文を毎日1章ずつ載せ、全章掲載後の18日に論文本体のファイルを以下のページに公開する予定です。http://sites.google.com/site/politicaltheo…

リバタリアンな制度は児童虐待を解決するか

最近、世間では児童虐待の問題が大きな注目を集めている。こうした時勢を受けて、リバタリアニズム・ジャパン・プロジェクト(LJP)のサイトに相次いで興味深いエントリが挙がっている*1。リバタリアン経済学者として知られる蔵研也氏は、「児童保護警察(NP…

デモクラシーは「民主主義」なのか

日本では“democracy”と言えば「民主主義」と訳されることが一般的です。場合によって「民主政」「民主制」などとも訳されることがあり、私などはこの訳し分けに積極的な意義を見出して区別し、民主主義/民主政の両面を包含したい場合には「デモクラシー」の…

社会運動は日本を変えてこなかったか?

多少時宜を外した感が無きにしも非ずですが、西田亮介氏がシノドスブログに寄稿している「「あたらしい『新しい公共』円卓会議」は、市民運動を越えられるか?」(2010年7月5日)と題する記事について、少しコメントしたいと思います。予め言っておきますと…

祈りとしての革命

革命とは何であるか。それは、私たちを日常的に取り囲んでいる「市民的現実」の破壊であり、外部からの侵略であると、千坂恭二は言う(千坂[2010])。是々非々の立場取りや条件付き賛否などは、革命とは相容れない。これら議論≒説得可能性なるものは、相手と…

ハンナ・アレントの「一般意志」論

ルソーの「一般意志」論について考える上で、以下のような読解を引いて多くの人の目に触れやすくしておくことが、あるいは多少の意味を持つこともあるかもしれない。いささか長くなるが、ご容赦を願いたい。 このような多くの頭をもつ一者をつくりあげるため…

政治学者による現状分析と「未来予想図」

参院選投票日が直前に迫りましたので、ツイッターを中心とした政治学者の方々の議論を紹介する形で、軽く更新しておきます。 まず、先月初め時点での、菅原琢さんの分析を中心とする議論。 「政治学者、「政局」を語る1(2010.6.4-5)」 菅原さんは、この後…

フランス自由主義の両義的位置――三浦信孝編『自由論の討議空間』

三浦信孝編『自由論の討議空間――フランス・リベラリズムの系譜』勁草書房、2010年 「フランス自由主義」なる言葉遣いは,聞く人を怪訝にさせるかもしれない.まるでそれは語義矛盾であるかのように,「フランス」と「自由主義」が寄り添って私たちの会話の中に…

リバタリアニズムとは何か

最近、NHKで放送されているマイケル・サンデル氏の講義と、それに並行した宮台真司氏の「解説」によって、リバタリアニズムへの関心が一部で高まっているように見えます(見えるだけかもしれません)。 「【追補しました】リベラリズム・コミュニタリアニズ…

シュティルナー論文2本公開

本日、『情況』3月号に掲載されたマックス・シュティルナーについての論文「エゴイズムの思想的定位――シュティルナー像の再検討」のpdfファイルを私のHPで公開致しました。ご関心の向きは、是非ご一読・ご利用を頂ければ幸いです。また、それと同時に、本論…

公訴時効廃止に何を見るべきか

先月末、重大な罪の公訴時効を廃止・延長する内容を含む改正刑事訴訟法および改正刑法が成立した。これに伴って全国犯罪被害者の会(あすの会)が発表したコメントによれば、今次の改正は「犯罪被害者の多年にわたる悲願」である。だが、『法律時報』5月号で…

憲法の機能をめぐる認識のズレ

憲法記念日であるので憲法をお題に何か書くことにしますが、さして詳論したいと思うことも無いので、あまり指摘されていないと思うことだけを、なるたけ簡潔に話します。 左派的な立場から憲法が論じられるのを見聞きすると、「そもそも憲法とは国家権力を縛…

ポストモダンにおけるデモクラシーの価値――宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』

宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』岩波書店(岩波新書)、2010年 〈私〉時代のデモクラシー (岩波新書)作者: 宇野重規出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/04/21メディア: 新書購入: 10人 クリック: 174回この商品を含むブログ (63件) を見る 吉田徹…

エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』抜粋

フランス革命についての省察〈上〉 (岩波文庫)作者: エドマンドバーク,Edmund Burke,中野好之出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/07/14メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (21件) を見るフランス革命についての省察〈下〉 (岩…

「熟議に基づく教育政策形成シンポ」傍聴記

4月17日に文部科学省内の講堂で開催された「熟議に基づく教育形成シンポジウム」を傍聴してきましたので、その模様について、気付いたことや個人的な感想を簡単に書き留めておきたいと思います。