「アメリカ化」する日本の政治学
北田暁大氏による最後の編集号となった『思想地図』vol.5には、巻頭の野中広務氏を迎えたシンポジウム記録をはじめとして多数の興味深い論考が掲載されていますが、私がとりわけ広く読まれて欲しいと願うのは、特集の末尾に収められた「「アメリカ化」する日本の政治学」と題する論文です。著者は、昨年末に出版された『世論の曲解』で近年の日本政治の動向を計量分析に基づくアプローチで批判的に捉え直した菅原琢さんです。
論文自体が非常にクリアカットな論旨となっているため、現物を見て頂くのが一番ということで、ここで下手に内容を要約することは控えます。論文執筆の経緯などは著者本人がブログで語っていらっしゃるので、そちらも参照下さい。近年の若手政治学者が置かれている環境や学会・学術誌の動向と、そこから産出される研究の内容や質との関係が具体例を交えて論じられており、計量型研究の査読の実際などを知ることもできるので、他分野ないし一般の方々にとっても非常に興味深い内容になっていると思われます。是非ご一読あれ。
以上、簡単な紹介まで。
- 作者: 東浩紀,北田暁大
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- 作者: 菅原琢
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- 参考
- 「「アメリカ化」する日本政治学」@kei-24のblog(2010年3月27日)
- 「菅原琢「「アメリカ化」する日本の政治学」」@ガラパゴス政治学の旗の下に(2010年3月31日)
- 「雑感」@lessorの日記(2010年4月5日)
- 「関係性のオブジェクト・レベルにある記述行為」@Freezing Point(2010年4月10日)