私は爆弾で死にたくない―9条論への蛇足


2007/05/03(木) 22:29:50 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-339.html

憲法が改正されたら、憲法記念日はどうなるんだろう。


以前、憲法9条擁護論をやや詳細に検討したことがある(原題「九条の護衛者たち」)。その時に残した宿題をできれば検討したい気もしたし、今から考えると少し悲観的・消極的な雰囲気が漂いすぎたかもしれないと思って、改めて少しだけ考えてみようとした。けれども、結局昨日今日で思いついたようなことは過去に考えているし、読み直してみると我ながら結構周到に検討されているように思えた。最近、過去の自分に驚かされることが多い。


などと自画自賛めいた与太話は止して、昨日今日何を考えたかと言えば、やっぱり絶対平和主義的な立場を堅持して原理主義的9条解釈の下に自衛隊違憲論を展開し、日米安保放棄・米軍基地撤廃・自衛隊改組を経て非武装中立による平和外交を目指す方針を徹底的に主張した方がいいのかもしれないということ。


個人的趣味嗜好には合うので、そうしようかなぁと一瞬思ったが、やっぱり思い直した。実現可能性が無いし、政治的支持も得られないだろうし、(宮台真司大塚英志よろしく)「敢えて」的なスタンスを取るのも何だかなぁと思ったので。だいたい、絶対平和主義的護憲論は届く人にしか届かないし、届く人にはもう届いているでしょう。伸びしろがなさそうだ。


結局、地道に9条(2項)の歯止め効果を訴えていくしかないのか。「新しい歯止め」は無いのか。護憲派が国会の議席を大きく伸ばすような政治変動も期待できそうにない以上、無いかな。と思っていたら、朝日新聞自衛隊の国際協力の在り方などを規定する「平和安全保障基本法」なる新法を提案している。「新戦略」大特集のうち、9条と安全保障に関わる部分だけリンクを掲げておこう(新法の提案は19、なお総論でも触れている)。


14.日米安保
15.自衛隊の海外派遣
16.人間の安全保障
17.9条の歴史的意義
18.9条改正の是非
19.自衛隊


まぁ、おおまか、こんなところなのかな。「基本法」のようなことは私も過去に考えないでもなかった。現在特措法で間に合わせている海外派兵について、むしろ恒久法の成立を積極的に目指し、それを厳格な形で成立させることによって野放図な海外派兵に縛りをかけようというもの。それは確かに「新しい歯止め」にならないこともないかもしれんね。現在の政治環境では、「厳格な形」で縛りをかけられるかどうか難しそうだが。


結局、重要なのはアメリカ絡みの戦争およびテロに巻き込まれないことなので、①明文改憲の阻止は当然のこととして、②国連の枠組み外での海外派兵にきつく縛りをかけることと、③集団的自衛権の行使を容認する解釈変更を阻止することが最低ラインとなろう。


①のためには、解釈改憲最悪論の立場を採る人々を護憲派に取り込むべく、②③についての(明文改憲以外の)具体策を示すしかない。他に良案がなければ、「基本法」を「新しい歯止め」として打ち出していくしかないかもしれないな。どうですか、護憲派の皆さん。


ただし、その「基本法」成立を担う政治勢力はどこに居るのだろう…。結局、社会政策にせよ安全保障政策にせよ、政治的対立軸がグチャグチャの与野党構成が最大の問題なのか。いい加減何とかならないかね。

コメント

無題(TB相性最悪)
護憲派にそこまで冷静に物を考える人がいたら、問題はここまで大きくなりませんよ。護憲派はやたらとヒステリックで平和ボケですので、話にすらなりません。私の経験上、相手が勝手にキレて口論になるパターンが多かったですし。
護憲派は反米多いんですけど、9条をそのままにしたら、在日米軍がいないと何も出来ない自衛隊がそのままにされることもわからないですから。
2007/05/07(月) 23:28:31 | URL | Rabenschwarz #lxwiUl5Y [ 編集]


どうも、はじめまして。TB相性最悪ということで、謝る筋でもないですが、何かすいません。


「そこまで冷静に」と言われるのは、何を指していらっしゃるのでしょうか。基本法提案のことを言ってらっしゃるのなら、朝日は当然護憲派ですから、当てはまりませんよね。私もまぁ護憲派に入るでしょう。また、(Rabenschwarzさんの経験には反するかもしれませんが)個人的には私程度の冷静な考えを持っている護憲派はそれなりに存在すると思います。あるいは、特定の人や集団を指していらっしゃるわけではないのでしょうか。


Rabenschwarzさんが「大きくなっている」と認識されている「問題」が具体的に何を指しているのかも判然としないように思われます。アメリカ主導の戦争の後方支援に自衛隊が駆り出されているということでしょうか。あるいは、自衛隊が「在日米軍がいないと何も出来ない」状態にされていることでしょうか(この事実認識の妥当性について私は懐疑的ですが、具体的に論じる能力はありません)。仮に後者だとすると、9条を改正すれば米軍に頼らなくてもよい安全保障環境(武装中立?)が実現されうるとお考えでしょうか(これはRabenschwarzさんの意図とは違うかもしれませんが)。


最後に付け加えですが、護憲派に「平和ボケ」が多いことは否定しませんが、改憲派も同じ程度には「平和ボケ」である人が多いのではないか、というのが個人的印象です。もっとも、「平和ボケ」という言葉の定義も判然としないのですが…。
2007/05/08(火) 23:18:11 | URL | きはむ #- [ 編集]