記録

政治過程または一般的決定過程におけるステージ・アクター・評価

2007/09/09(日) 20:00:17 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-362.html 西野喜一『裁判員制度の正体』(講談社:講談社現代新書、2007年)を読んで裁判員制度への消極的態度を新たにしたわけだけれども、どういうプロセスにおいてどういうアクターが関与…

イデア論的現実批判と抑圧の移譲構造

2007/08/31(金) 22:33:13 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-360.html デリダが間違えたのは、不完全なものが知られるためには完全なものが想定されていなければならない、と考えたことだ。これは、完全無欠の理想たるイデアを虚偽と迷妄に満ちた現実に…

「生の無条件の肯定」の不可能性

2007/08/30(木) 20:07:54 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-359.html 野崎泰伸「どのように<倫理>は問われるべきか」『コーラ』第2号、2007.8.15 人間の生命に内在的価値が存在し、誰であっても、どんな人生であっても「生きてよい」ことは、少なく…

デモクラシーの10冊と私が「ほんとうに望んでいたもの」

2007/08/29(水) 17:06:33 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-358.html 「民主主義とは何か」について、まとめを書きました。元記事よりは解りやすくなっているはずですが、まだ解りにくいところがあるかもしれません。色々疑問が浮かんでくる方は、デモ…

言説を紡ぐ/に対する態度

2007/07/30(月) 18:13:07 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-355.html 別件でisedの議論を再読していたら、以前ソースを示さずに言及したことがある箇所を見つけたので、以下に引いておく。いつか消えるかもしれないし、過去に私が書いた幾つかのエント…

民主主義とは何か・補遺

2007/07/24(火) 18:16:13 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-354.html 「民主主義とは何か」には*1、喜ばしいことに若干の反応を頂いた。それらを眺めつつ、民主主義を多数決と必然的な結び付きを持つものと見做す立場は現在の日本では比較的受け入れら…

gated communityとリバタリアニズム

2007/07/11(水) 16:46:34 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-352.html 竹井隆人『集合住宅デモクラシー』(世界思想社、2005年) エヴァン・マッケンジー『プライベートピア』(竹井隆人・梶浦恒男訳、世界思想社、2003年) エドワード・J・ブレークリ…

esperantoとconvention

2007/07/04(水) 19:58:43 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-350.html 田中克彦『エスペラント』(岩波書店:岩波新書、2007年) 田中克彦の著作は読まなければならないと思いつつ未だに読めていないが、新刊が出たので最初の一冊とさせてもらった。人…

「俗流若者論」批判は切れすぎる刀か

2007/06/26(火) 22:04:19 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-349.html 後藤和智(新・後藤和智事務所 〜若者報道から見た日本〜)さんのインタビュー。 後藤和智さんインタビュー 前半@女子リベ 安原宏美--編集者のブログ 後藤和智さんインタビュー 後…

沖縄戦における住民集団自決に何を見るか

2007/06/25(月) 13:55:57 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-348.html 「沖縄戦集団自決について」と題する文章。 http://www.res.otaru-uc.ac.jp/~egashira/diary/20070330.htm こういう言説はダメだ。「政府の役割は「国民の生命と財産を絶対的に守る…

オーストラリア人は麻生太郎が嫌いだ

2007/06/21(木) 15:23:21 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-347.html 某方面からタイトルの旨の話を度々聞かされるので、勉強がてらメモ。特段何かコメントしたいわけではないのだが、確かに日本のメディアではほとんど聞かないので。麻生が首相になる…

民主主義とは何か

2007/06/18(月) 20:39:55 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-345.html 価値理念としての民主主義と区別される概念としての民主政とは、当該政治的共同体内における対等なメンバー間による討論と投票によって政治的決定を為す政治体制を意味する。民主政…

未来世代の権利と過去世代の権利

2007/06/16(土) 23:15:37 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-346.html 未来世代の権利について少しだけ書いたことがあるが*1、今日は過去世代の権利について少し書こう。と言うより、話題としてこんな議論があるよ、ということで情報だけ書き付けておこ…

フックとしての人格陶冶論

2007/06/06(水) 22:12:16 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-344.html 金田耕一「リベラリズムの展開」川崎修・杉田敦編『現代政治理論』(有斐閣アルマ、2006年)では、順にロック、スミス、ベンサム、J.S.ミル、T.H.グリーン、スペンサー、フェビアン…

平和主義についての何度目かの呟き、あるいは思想の継承と発展について

2007/05/23(水) 21:09:13 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-342.html 映画『パッチギ!LOVE&PEACE』を観た。素直に良い作品だと思った。前作と比べて格段に低い評価を与える向きもあるようだが、私は賛同しない。 丁度ここ数日の頭がそういう方面に向…

比較不能性など存在しない

2007/05/12(土) 22:20:33 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-340.html 長谷部恭男は、ある人が何かを「かけがえのない」ものと見做す時、その「かけがえのない」ものは、他のものと比較不能になると言う。「かけがえのなさ」はふつう、代替不能性を意味…

私は爆弾で死にたくない―9条論への蛇足

2007/05/03(木) 22:29:50 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-339.html 憲法が改正されたら、憲法記念日はどうなるんだろう。 以前、憲法9条擁護論をやや詳細に検討したことがある(原題「九条の護衛者たち」)。その時に残した宿題をできれば検討したい…

スピリチュアル的なものとモノ・サピエンス的なもの

2007/04/29(日) 17:41:13 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-337.html 今期、学部1年生向けの「社会科学概論」という講義にもぐっている。この講義は社会学部の必修講義なのだが、二人の教員がそれぞれ同名の講義を同時に行っており、どちらか一方を履…

0を0.5と数えるべきではない

2007/04/26(木) 20:52:18 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-336.html 最低投票率の問題@おおやにき http://alicia.zive.net/weblog/t-ohya/archives/000417.html 異議1.公職者の選挙においても、「議案自体への賛否と異なる」ような「投票自体へのnon…

私撰・政治学の名著30

2007/04/24(火) 15:43:55 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-335.html 山内昌之『歴史学の名著30』(筑摩書房:ちくま新書、2007年) 佐々木毅『政治学の名著30』(筑摩書房:ちくま新書、2007年) 山内の方が圧倒的に面白い。私が歴史学より政治学に比…

新自由主義からgated communityまでの雑感

2007/04/21(土) 00:08:04 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-334.html まだ途中までしか読んでいないが、デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義』(作品社、2007年)では、「理論としての新自由主義」と「実践としての新自由主義」が区別されつつ、議論が…

経験科学はいかにして政治的たり得るか

2007/04/14(土) 22:38:50 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-333.html 4月だから、というわけでもないが、ヴェーバーから少し引いてみたい。 さらに、われわれは、もしある考えられた目的を達成する可能性が与えられているように見えるばあい、そのさい…

『世界』5月号雑評

2007/04/11(水) 17:00:51 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-332.html 『世界』5月号の幾つかの記事を読む。若干のコメントだけ。 丸谷才一と長谷部恭男の対談。戦争は政治体制(国体)を守るために起こる、という長谷部の議論はいつもながら面白いな、…

ある無限速度機械について

2007/03/25(日) 18:16:32 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-328.html 以前、「神と正義について・7」で吉本の宮沢賢治論に触れた*1。そこで扱っている部分とは別に、同じ吉本の「人工都市論」を読んだとき、非常に心に引っかかったところがもう一箇所…

民主主義の振幅

2007/03/09(金) 22:00:16 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-325.html 塩川伸明HPより、市野川容孝『思考のフロンティア 社会』(岩波書店、2006年)の書評(稲葉さんブログ経由)。 http://www.j.u-tokyo.ac.jp/~shiokawa/ongoing/books/ichinokawa.ht…

stakeholder/ステークホルダー/ステイクホルダー研究あれこれ

2007/02/27(火) 18:02:45 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-324.html 更新をサボっているので、久し振りに研究に関係することを少し書いてみる。と言っても、あくまで手持ちのストックからリンクを貼ってみる程度。私の研究課題が何か忘れている人は「…

「ニセモノ」ラベリングの意義と限界

2007/02/14(水) 21:51:49 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-323.html 「ニセ科学」について、リアルタイムでは本当に「横目」で見ていただけなので、トラックバックを頂いたのを機に改めて少し考えてみようかと思った。それで関連のエントリを辿ってみ…

菊池理夫のコミュニタリアニズムについて

2007/02/12(月) 22:49:21 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-322.html 以前書いた通り、菊池理夫『日本を甦らせる政治思想 現代コミュニタリアニズム入門』(講談社:講談社現代新書、2007年)は何が言いたいのか、何を批判したいのか、よく解らない本…

無様なのはアンタだ

2007/02/10(土) 19:08:27 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-321.html 前回のエントリは言うまでもなくhttp://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20070207/p1を受けてのものであったが*1、この時はむしろ自分自身と状況そのものに苛立って書いた。今は稲…

正しさは社会を良くするか

2007/02/08(木) 19:33:55 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-320.html パオロ・マッツァリーノ『つっこみ力』(筑摩書房:ちくま新書、2007年) 面白くて、とても良い本である。社会科学との付き合い方について、とても説得的な議論がなされており、『…