科学

「アメリカ化」する日本の政治学

北田暁大氏による最後の編集号となった『思想地図』vol.5には、巻頭の野中広務氏を迎えたシンポジウム記録をはじめとして多数の興味深い論考が掲載されていますが、私がとりわけ広く読まれて欲しいと願うのは、特集の末尾に収められた「「アメリカ化」する日…

リスク社会における公共的決定2――「トンデモ」批判の政治性と政治の未来

今日は少し、色々な文脈を縫い合わせるようなお話をしてみたいと思います。例によって長いですが、ご関心の向きはしばしお付き合い下さい。

『ミル自伝』抜粋

ミル自伝 (岩波文庫 白 116-8)作者: ジョン・ステュアート・ミル,朱牟田夏雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1960/02/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (13件) を見る 私の父は、私の学ぶいかなることも、それが単に記憶力さ…

数学を勉強することの意味――「1+1」の思想

勉強することの意味を尋ねられたらどう答えようかな、などとはよく考えることがあるけれども、今日は特に数学に限定して考えてみようか。先日、数学を勉強するのは論理的思考を養うためだという旨の説明を横耳で聞く機会があって、それも一つの説明だろうな…

リスクと不確実性について

少し前の話になるが、kaikajiさんとBaatarismさんの以下のやりとりに触発されて考えたことをまとめておく。 経済学的思考のすすめ@梶ピエールの備忘録。 テポドンの経済学@Baatarismの溜息通信 BMDを棄つるの覚悟@梶ピエールの備忘録。 国際関係における…

世界を変えることはできますか?――社会科学的説教ないし説教的社会科学入門

10代の少年少女にふと、「世界を変えることはできますか?」と尋ねられたとして、私ならどう答えるか――。 「できるかできないを訊くな。今の君には、そんなことを考える必要は無い。本当に世界を変えたいなら、まず何をどう変えたいのかを考えることだ。何で…

御用学者だっていいじゃない

あまり大した話ではないが、ダイヤモンド・オンラインで上久保誠人という人が書いている「官僚支配を終わらせるために、 政策立案で幅利かす「御用学者」を一掃せよ」という記事について、気になったことを簡単に書いておく。執筆者は「官僚の設定する「議題…

社会科学の禁欲と跳躍

本書の実証性に疑問を挟む研究者がいるかもしれない。大胆な分析と解釈を含むからである。きわどいいい方をすれば、厳密な分析が意義深い知見を生むとは限らない。どのような「事実」を発見しようとし、それをどんな「文脈」にのせて議論するか。この社会を…

コドモをだませるオトナになろう

パオロ・マッツァリーノ『ほろ苦教育劇場 コドモダマシ』(春秋社、2008) 『反社会学講座』で統計の融通無碍さを実践的に暴露し、『つっこみ力』で学問が果たし得る社会的機能の限定性を説得的に描いた、南関東一の戯作者の新著。登場人物が繰り広げる会話…

後藤和智さんの言説について、最後に

おまえが若者を語るな! (角川oneテーマ21 C 154)作者: 後藤和智出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/09/10メディア: 新書購入: 9人 クリック: 334回この商品を含むブログ (74件) を見る 後藤和智『おまえが若者を語るな!』を読みまし…

事実・想像・理論と、その周辺

1.「言説を紡ぐ/に対する態度」の補足として。 北田 さっきの脳の話で言うと、斎藤環さんがお怒りになっていた「ゲーム脳」論がありました。斎藤さんの反論はおそらく正しい。しかし、問題は斎藤さんを無条件に支持する人たちです。たぶん斎藤さんを支持す…

科学的なるものの概念

この記事は、「正しさは社会を良くするか」「無様なのはアンタだ」「「ニセモノ」ラベリングの意義と限界」の問題意識の一部を発展させて執筆したものです。

経験科学はいかにして政治的たり得るか

2007/04/14(土) 22:38:50 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-333.html 4月だから、というわけでもないが、ヴェーバーから少し引いてみたい。 さらに、われわれは、もしある考えられた目的を達成する可能性が与えられているように見えるばあい、そのさい…

「ニセモノ」ラベリングの意義と限界

2007/02/14(水) 21:51:49 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-323.html 「ニセ科学」について、リアルタイムでは本当に「横目」で見ていただけなので、トラックバックを頂いたのを機に改めて少し考えてみようかと思った。それで関連のエントリを辿ってみ…

無様なのはアンタだ

2007/02/10(土) 19:08:27 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-321.html 前回のエントリは言うまでもなくhttp://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20070207/p1を受けてのものであったが*1、この時はむしろ自分自身と状況そのものに苛立って書いた。今は稲…

正しさは社会を良くするか

2007/02/08(木) 19:33:55 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-320.html パオロ・マッツァリーノ『つっこみ力』(筑摩書房:ちくま新書、2007年) 面白くて、とても良い本である。社会科学との付き合い方について、とても説得的な議論がなされており、『…

禁欲と冒険の間

2007/01/19(金) 17:56:18 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-315.html 鈴木直『輸入学問の功罪』(筑摩書房:ちくま新書、2007年) なかなか面白かった。論の筋はシンプルであり、翻訳者・出版社・大学のもたれ合いのために市場メカニズムを介した淘汰…

政治思想史を学ぶ意義とは何か

2006/12/09(土) 18:58:49 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-301.html これもレポートからの流用。A4一枚ということで30分ぐらいでパパっと書いたもの。書いた当人としてもつまらんなぁと思う内容だけれども、学部生の皆さんが似たようなテーマのレ…

民の政治学よ、どこに

2006/10/20(金) 18:14:19 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-285.html こういうことを書いていいのか、よく解らないんだけれども、常日頃思っている漠然とした不満と言うか、不安と言うか、やりきれなさと言うか。 私の先生はいつも、我が大学の政治学…

社会科学とは何か

2005/11/20(日) 00:54:02 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-167.html 別に私は社会科学をやっているつもりも、やるつもりも(たぶん)無いけれども、社会科学とは何かということを考えることはある。私の答えは単純で、「社会の問題」を扱う学問だ、と…

『アダム・スミス』 高島善哉

2005/07/14(木) 14:42:40 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-100.html 岩波新書、1968年。 まず人間とはそもそもなんであるか。人間は一方からみれば理性の持主であり、精神の所有者である。この見方によれば、理性や精神の自覚の弱い人間は真の人…