2011-01-01から1年間の記事一覧

2011年の3冊

A3作者: 森達也出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2010/11/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 89回この商品を含むブログ (30件) を見る地方政府の民主主義 -- 財政資源の制約と地方政府の政策選択作者: 砂原庸介出版社/メーカー: 有斐…

民主党の組織と政策

民主党の組織と政策作者: 上神貴佳/堤英敬出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2011/09/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 66回この商品を含むブログ (18件) を見る 今夏、書籍としてはほぼ初と言っていい、民主党についての実証的研究が出版され…

哲学的想像力の滞留――東浩紀『一般意志2.0』

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル作者: 東浩紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/22メディア: 新書購入: 14人 クリック: 581回この商品を含むブログ (164件) を見る 東浩紀『一般意志2.0−−ルソー、フロイト、グーグル』(講談社、2011年)を強…

掲載告知:「権力と自由――「自然の暴力」についての政治学」

論文掲載のお知らせです。10月刊行の『法政大学 大学院紀要』第67号(91-111頁)に、「権力と自由――「自然の暴力」についての政治学」と題する拙論が掲載されました。内容は、修論の権力論(第1章第3節)と「自由の終焉」の一部(こちらから読めます)を合体…

「コンセンサス」はいつ得られるのか――3つの条件

政治・政策に関する言説に触れていると、「この問題については国民的な議論が必要である」とか「まだコンセンサスが得られているとは言えない」などといった言い回しを、よく耳にします。ところが、どうなれば国民的な議論が行われたことになり、どこまで行…

かかわりあいの政治学8――「チーム」はなぜ愛されるのか

野球やサッカーなどのプロスポーツを愛好する人々には、決まって「ひいき」にしているチームがあるものだ。プロ野球であれば阪神タイガース、Jリーグであれば浦和レッズが、それぞれ熱烈なファン(サポーター)を多く持つことで有名だろう。こうしたファンの…

馬渕浩二「シュティルナー『唯一者とその所有』」について

近代哲学の名著 - デカルトからマルクスまでの24冊 (中公新書)作者: 熊野純彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/05/25メディア: 新書 クリック: 11回この商品を含むブログ (8件) を見る 最近出た熊野純彦(編)『近代哲学の名著』に、馬渕浩二氏が…

差別はなぜ許されないか――区別との区別

「風評被害」の虚飾の下に、差別が拡がっています。差別は昨日今日、生まれたのではありません。レイシズムもセクシズムも、宗教差別も出生地差別も、疾病・障害や能力その他の特徴による差別も、過去から現在まで一貫して存在しているものです。起きたこと…

誰が都知事を選ぶべきか

進学について激励を頂いた方々、改めてありがとうございました。さて、ごく個人的なことをいつまでも最新記事に掲げておくのはどうも気恥ずかしいので、最近考えたことを簡単に。 以前「私たちはなぜアメリカ大統領を選べないのか」といった論点について述べ…

また始まるために

唐突ですが、本年4月から私の身分関係に大きな変動が生じたため、簡単にご報告致します。 法政大学大学院の政治学研究科博士後期課程に入学致しました。 私は2008年3月に修士課程を修了後、塾講師を生業にしながら個人的な研究を進めて参りましたが、再び大…

来るべきステークホルダーへの応答――政治の配分的側面と構成的側面

過去は到来する。未来は構成される。私たちが構成する未来が、誰かにとっての過去として、決定された形で到来するのである。原子力発電所と、それがもたらすコストとリスクについての思考は、私たちの視野に、ヒトの一生を超えるタイムスパンを要求する。も…

震える思考

twitterから。

政治的なものと公共的なもの――権力と期待

政治的であることと非政治的であること われわれの出発点を何処に置こう。「個人的なことは政治的である!」――よろしい。では、個人的なことの全てが政治的であるか? あるいは然り、あるいは否。「全てがそう、とは言わないまでも、全てが政治的にはなりう…

機能美について

批評という営みについて私はよく知らないが、ある作品を批評してその価値を測るときの基準としては、まず(1)現実との結び付き(アクチュアリティ)と、それから、(2)何らかの可能性についての展望、ヴィジョンを与えてくれるようなインスピレーション、…

熟議的な熟議と、そうではないもの

日々不勉強を沁み込ませている身では、専門的なことについて何かを言うということははばかられるのですが、しかしそれでも感じたり考えたりしていることを折々に吐き出しておかないと、いつまで経っても何も言えないことになるので、最近細切れに書き付けて…

最近出た本の中から

常日頃、政治学系の本がブログ界隈で紹介される機会は相対的に少ないと感じているので、優れた新刊などは出来るだけ採り上げたいと思っています。簡単な書評や紹介を書ければいいと思っているのですが、ブログに揚げるとなると何だか多少なりともエネルギー…

デモクラシーを可能にする「オウム的なもの」――森達也『A3』から

A3作者: 森達也出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2010/11/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 89回この商品を含むブログ (30件) を見る オウム側の視点から日本社会を映した『A』『A2』の監督・著者による、『月刊PLAYBOY』連載(2005…