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馬渕浩二「シュティルナー『唯一者とその所有』」について

近代哲学の名著 - デカルトからマルクスまでの24冊 (中公新書)作者: 熊野純彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/05/25メディア: 新書 クリック: 11回この商品を含むブログ (8件) を見る 最近出た熊野純彦(編)『近代哲学の名著』に、馬渕浩二氏が…

アナーキーの3つの意味

「アナーキー」の概念には、その語義・用法からして、おおよそ3つの意味が見出せる。第一の意味は、(1)無秩序である。これは秩序が失われた状態として否定的に言及される一般的用法のほか、特にヒエラルキーと呼ばれるような階統的な秩序の反対概念として…

シュティルナー関連のつぶやき

これまでにtwitterで書いたシュティルナー関連のつぶやきを、備忘の為にまとめておきます。既にブログに引っ張ってきたことがあるものや、ほとんど意味がないつぶやきは省いていますが、だからといって以下に転載するつぶやきが大した内容を持っているわけで…

シュティルナー論文2本公開

本日、『情況』3月号に掲載されたマックス・シュティルナーについての論文「エゴイズムの思想的定位――シュティルナー像の再検討」のpdfファイルを私のHPで公開致しました。ご関心の向きは、是非ご一読・ご利用を頂ければ幸いです。また、それと同時に、本論…

エゴイズムの思想的定位――シュティルナー像の再検討

現物が届いたので、告知します。雑誌『情況』最新号(2010年3月号)に、マックス・シュティルナーの基本思想についての拙論文「エゴイズムの思想的定位――シュティルナー像の再検討」が掲載されています。 情況 2010年 03月号 [雑誌]出版社/メーカー: 情況出…

正義の否定的弁証について

本日、HPに「正義の否定的弁証について――「来るべき民主主義」と「関係の絶対性」――」と題する論文をアップしました。内容は、「正義の臨界を超えて」(「神と正義について」)に手を加えてまとめたもので、簡単に言うとデリダの「来るべき民主主義」を批判…

2009年にしたこと&滝口清栄『マックス・シュティルナーとヘーゲル左派』

昨年末は一応「2008年の3冊」を選んだわけですが、今年はそもそも本を読めていないので、まぁ無理です。代わりに、今年一年で何が出来たんだろうな、ということを書き留めておきます。 このブログも来年の2月で丸5年を数えることになるわけですが、今年はこ…

自由の終焉

ここ最近はデモクラシー関連の記事を続けているが、そろそろ別の話題もどうだろうか。というわけで本日、HPに「自由の終焉――「配慮」による内破と自己性への転回――」と題する論文をアップした。これは(記憶が定かではないので)たぶん昨年末から今年の初め…

確率の前と後

東浩紀が福嶋亮大にインタビューを受けた「オルタナティブの思想」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』(講談社BOX、2007年)から(初出2006年)。 じゃあおまえはなぜ一回性とか確率とか言うんだ、というと、これはちょっと難しい話で、僕もよく言語化…

読売のエゴイスト

無頼記者、戦後日本を撃つ―1945・巴里より「敵前上陸」作者: 松尾邦之助,大澤正道出版社/メーカー: 社会評論社発売日: 2006/04メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 松尾邦之助という人は、戦前は読売新聞特派員としてパリ支局…

幽霊と亡霊と

ソファの在る書店にて、3時間近くかけて以下の主に1、4、5章を読む。 マルクスの亡霊たち―負債状況=国家、喪の作業、新しいインターナショナル作者: ジャック・デリダ,増田一夫出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2007/09/25メディア: 単行本購入: 1人 クリッ…

デリダ派的シュティルナー再解釈?

シュティルナー関連で、とりあえずダウンロードしてあった数点をつまみ読む。その中の一つである書評、Tracy B. Strong,“Fiction Knows No Noumenon”,Political Theory,April 2007,Vol.35,No.2,pp.223-230で採り上げられている、Susan McManus,Fictive Theor…

情況と理想

情況 2009年 06月号 [雑誌]出版社/メーカー: 情況出版発売日: 2009/05/29メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 『情況』の最新号に千坂恭二という方がシュティルナーについて書いています。これは、いわゆる「マルクスとシュティルナー」が語ら…

倫理学の根本問題

確か修論を書き上げた後の数週間で一気に書いたのだけれど、その先がどこに向かうのか、今一つ見通しが悪い気がして寝かしておいた論文がありまして。「覚え書き」を書くことで社会学的な見通しは付けられたし、Egoist Manifestを書いて自身の暴力衝動の発露…

Egoist Manifest

時々思う。世界の全てに優しくしたい/ 私にとって必要なヒトやモノ以外は全て消え去ってしまえばいい。矛盾するような二つの思いが、同じ瞬間に顔を出す。脳内に畳み込まれている異なる想念が、交互に顔を出すのではない。穏やかな心向きによる世界の肯定と…

個と個人主義

松尾匡さんのページで言及を頂いたのに応えて、シュティルナーと個人主義についてのコメントを返させて頂いた。多くの人をおいてけぼりにしそうなテーマと内容なので、補足として拙文を載せておく。上は修論、下は前掲の未発表論文から。本当は早くこっち方…

シュティルナーを疎外論的に読む誤りについて

「はだかの王様」の経済学作者: 松尾匡出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2008/06/06メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 136回この商品を含むブログ (37件) を見る svnseedsさんのところとコメント欄の著者コメントを見て気には留めていたが、ようや…

現代のアナーキズム思想(英米圏中心)

アナーキズムの勉強、長いことしていない。以下は、大変勉強になるので、ご紹介。リバタリアニズムにご関心の向きにも薦める。 アナーキズムとリベラリズム http://black.ap.teacup.com/anarchism/191.html アメリカ・アナーキズム http://black.ap.teacup.c…

西欧思想史1690-1856

**(2009.11.15)現在、更新は以下のページに移行しております。最新版はそちらをご覧下さい。 http://sites.google.com/site/politicaltheoryofegoism/stirner/historical-positioon 不勉強なもんで、ただ羅列しただけで知らないことだらけ。とてつもなく…

マックス・シュティルナーについて

この記事は「ああ、シュティルナー様…。」「『唯一者とその所有』マックス・シュティルナー」「マックス・シュティルナー研究日本語文献選集」「シュティルナーは「生き生き」しているか」「シュティルナーとアイロニーについて」「ほんとうにおめでたいのは…

ほんとうにおめでたいのはだれか

2006/07/14(金) 03:02:40 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-248.html むしろ自己消失(自己忘却)こそ、役柄や世界劇を見事に生きるための前提。そのためいつのまにか、役柄存在者である自分をほんとうの自分だと思いこむ。こうなれば、二重忘却状態に…

マックス・シュティルナー研究日本語文献目録―分野別

**(2009.11.15)当目録の更新は以下のページに移行しております。最新版はそちらをご覧下さい。http://sites.google.com/site/politicaltheoryofegoism/stirner/bibliography2 *目録については随時更新していくため、アーカイブ形式は採りません。 2006/…

マックス・シュティルナー研究日本語文献目録―年代順

**(2009.11.15)当目録の更新は以下のページに移行しております。最新版はそちらをご覧下さい。http://sites.google.com/site/politicaltheoryofegoism/stirner/bibliography1 *目録については随時更新していくため、アーカイブ形式は採りません。 2006/…

シュティルナーとアイロニーについて

2006/05/22(月) 00:22:54 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-228.html 左翼には(ますます)評判の悪い仲正昌樹。彼の新刊から少し引いてみる。 既に述べたようにアイロニーとは、「ある客体Xを把握したと思い込んでいる主体Yの姿勢」について、Y自…

自由から自己性へ

2005/10/29(土) 14:56:30 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-157.html 仕事も私生活も経済的にも愛情的にも、一般的に見てどんなに満たされているはずであっても、どこかで満たされない思いが残る、ということはとても普遍的に経験されることだと思う。…

美しい刃とたくましい嘘

2005/06/15(水) 01:09:27 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-83.html ジョン・F・ケネディが暗殺された日の晩に、ある友人が涙ながらに電話をしてきてこう言った。「だがなバーナード、だからといって、本当の暴君は殺されて当然だということを断じて…

大屋論文における「唯一者」の誤解

2005/05/05(木) 18:57:28 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-59.html 何とも挑戦的なタイトルだな。 本題に入る前に述べておきたいのですが、前エントリの最後に「しばしお待ち頂きたい」とある「しばし」は結構長〜い「しばし」になると思いますので、…