個人主義的アナーキズムは無かった?


2006/04/08(土) 23:44:27 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-209.html

シュティルナー関連で検索かけてたらタナカさんのブログを発見して、およよ。
恥ずかしながら、本当に今日まで知らんかった。何でだろう。


遡って読んでみると、私のエントリが論駁されていた。


「個人主義的アナーキズムは「実在」してました(とりあえず過去形ですが)」


今更になって気づくのも情けない。知っていたらすぐ応答させていただいたのだが。のんさんもそうらしいのだが、トラバ文化嫌いなんですね。それとも別に応答いらないですか、そうですか。


論駁されている当の内容について簡潔にお答えするなら、定義の問題でしょう。つまり、それを書いたときの私の定義では「アナーキズム」に「個人主義」は含まれなかったわけです。全て実在してきた「アナーキズム」は究極的には「個人主義」と相容れない、だから「個人主義アナーキズム」は存在しない、と。もちろんアナーキズム内部で個人重視度に濃淡があることは認めていましたが。したがって、定義次第では、と言うより一般的には、「個人主義アナーキズム」は実在したでしょう。


とはいえタナカさんの反証では、暴力革命論と受動的抵抗論の二潮流が実在したことを説明されているだけで、「社会主義アナーキズム」と「個人主義アナーキズム」の区別・実在証明になっているか疑問と言えば疑問。私が「個人主義アナーキズム」という立場を消去して、それを「アナーキズム」に一元化したのは、その受動的抵抗をしてきた人々や「あらゆる暴力の反対者」達にさえも「社会」の匂いを感じたからなのだが。反対すべしとされる「暴力」も、定義次第ではありますからねぇ。


でも最も問題とされているのは、私の「「実在」を頭から否定する態度」なんだろうと思う。説明不足なのは認めるし、申し訳ないと思う。しかし、その前段で私はアナーキズム=「体制」とするのんさんに同意した上で、現実のアナーキズムは個人に還ってはいかない、と言っているのだから、そこまで唐突かなぁ、と思わないこともない。もちろん、この部分自体が論拠を示していないことは確か。要するに私が疑問だったのは、そして今も疑問なのは、本当に「社会主義アナーキズム」と「個人主義アナーキズム」は互いに区別可能なほど明確な相違があるのか、そしてその区別にはそれほど意義が存在するのか、ということ。


ズバッとした独自の定義で勝手に突き進んでしまう私と、歴史的文脈から論証を図るタナカさんとの違いは、理論研究と歴史研究というフィールドの違いに由来するのかもしれない、なんて冗談でも口走ったら、歴史的文脈をきちっと押さえる真っ当な理論研究者の方々にぶっ殺されるんだろうな。


ちなみにアナーキズムについては最近、平和主義との訣別というエントリ内で語っておりますので、是非どうぞ*1。のんさんにも未だにご挨拶しないままで今日に至っていますが、思わぬ形で先にタナカさんにご挨拶。これからも一つ、色々教えてください。宜しくお願いします。


ところで、結局じゃあ「個人主義」って何よ?(独り言)。

コメント

はじめまして。「ジョルジュ・パラント趣味者」のわたなべと申します。
きはむさんのブログは去年から拝読しておりましたが、お声をおかけするタイミングがなかなかつかめませんでした。
以前ブログからリンクをはってくださっていたり、現在はアンテナの対象にくわえてくださっており、ありがとうございます。


アンテナをはってくださっている「雑記帖」にきのう書いたメモのなかで、パラントにかんして「アナルコ個人主義者」との形容がなされているのをみつけたのにことよせて、この記事にも言及しました。
(といっても、わたしもコメント・トラバはどちらかというと面倒ですので、おなじ fc2 をつかいながらも、コメント・トラバ一切なしの設定にしております)


ちなみにわたしは、「アナルコ個人主義」とか、「個人主義アナーキズム」とかについては、そういいたいひとがいるなら、いってもいいんじゃない? といういいかげんな態度です。
パラントは「アナーキズム個人主義」のなかで、それらふたつはまったく相いれないと断言していますが、そういっているパラント自身はあちこちでプルードンに賛意をしめすなど、じっさいにはアナーキズムとも一定の親和性があることも否定できないと思っています。


とりあえずごあいさつまで。
2006/05/19(金) 23:02:15 | URL | わたなべ #dQXbMvTE [ 編集]


わたなべさん、はじめまして。
本来はこちらからご挨拶すべきところ、わざわざコメント下さり、ありがとうございます。


わたなべさんが訳された『個人と社会の対立関係』、残念ながらまだ読めていません。近いうちには読むつもりです。久木哲が出している著作集の方は、シュティルナー言及部分を中心にパラパラと拾い読みしてみましたが。


個人主義アナーキズムの親和性についてはそうですね、私も実際はそれほど厳格に切り離すべきという立場じゃありません。ただ私個人として思索を続けるのに、負担が重くなるので切り離してしまおうと。最近の私の立場としては、個人主義とエゴイズムも切り離そうとしていますし、勝手はお互い様というところでしょう。


ともあれ、今後もよろしくお付き合いいただければ幸いです。
2006/05/19(金) 23:32:12 | URL | きはむ #- [ 編集]