アナーキーの3つの意味

「アナーキー」の概念には、その語義・用法からして、おおよそ3つの意味が見出せる。第一の意味は、(1)無秩序である。これは秩序が失われた状態として否定的に言及される一般的用法のほか、特にヒエラルキーと呼ばれるような階統的な秩序の反対概念として…

熟議批判の嘘と本当

池田信夫氏のブログは普段読まないのですが、さる人に記事を紹介されたので以下を読みました。せっかくなので、簡単にコメントをしておきます。 熟議という「便利な嘘」 - 池田信夫blog http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51491223.html 話題になって…

ステークホルダー・スタディーズのために

先月末に「ステークホルダー・デモクラシーの可能性」が掲載されたことを機として、自分用の整理も兼ね、ステークホルダー研究(SHS)用のメモ書きを作っておきます。かなり雑駁なものなので後で足すかもしれませんが、ひとまず公開しておきます。

シュティルナー関連のつぶやき

これまでにtwitterで書いたシュティルナー関連のつぶやきを、備忘の為にまとめておきます。既にブログに引っ張ってきたことがあるものや、ほとんど意味がないつぶやきは省いていますが、だからといって以下に転載するつぶやきが大した内容を持っているわけで…

掲載告知:ステークホルダー・デモクラシーの可能性

お知らせです。 『政策空間』さんに、「ステークホルダー・デモクラシーの可能性」と題する拙論が掲載されました。 日本語の「利害関係者」には尽くされない“stakeholder”ないし“stake”の意味を具体例と語源に基づきつつ説明し、近年それが重視されるようにな…

掲載告知:「確率・亡霊・唯一者」

昨日までの4日間に分割掲載した論文「確率・亡霊・唯一者」を、pdfファイルでHPに公開しました。以下のページから閲覧・ダウンロードできます。http://sites.google.com/site/politicaltheoryofegoism/works ブログでは省略した注が読めますので、是非ご利用…

確率・亡霊・唯一者――政治学的想像力のために(4・完)

目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来(本記事)

確率・亡霊・唯一者――政治学的想像力のために(3)

目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性(本記事) 4.政治と未来

確率・亡霊・唯一者――政治学的想像力のために(2)

目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性(本記事) 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来

確率・亡霊・唯一者――政治学的想像力のために(1)

目次 1.確率と亡霊(本記事) 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来

掲載予告:「確率・亡霊・唯一者」

お知らせです。 明日、9月14日から17日までの4日間、私の未公開論文を分割して、本ブログに掲載します。全4章の論文を毎日1章ずつ載せ、全章掲載後の18日に論文本体のファイルを以下のページに公開する予定です。http://sites.google.com/site/politicaltheo…

リバタリアンな制度は児童虐待を解決するか

最近、世間では児童虐待の問題が大きな注目を集めている。こうした時勢を受けて、リバタリアニズム・ジャパン・プロジェクト(LJP)のサイトに相次いで興味深いエントリが挙がっている*1。リバタリアン経済学者として知られる蔵研也氏は、「児童保護警察(NP…

デモクラシーは「民主主義」なのか

日本では“democracy”と言えば「民主主義」と訳されることが一般的です。場合によって「民主政」「民主制」などとも訳されることがあり、私などはこの訳し分けに積極的な意義を見出して区別し、民主主義/民主政の両面を包含したい場合には「デモクラシー」の…

社会運動は日本を変えてこなかったか?

多少時宜を外した感が無きにしも非ずですが、西田亮介氏がシノドスブログに寄稿している「「あたらしい『新しい公共』円卓会議」は、市民運動を越えられるか?」(2010年7月5日)と題する記事について、少しコメントしたいと思います。予め言っておきますと…

祈りとしての革命

革命とは何であるか。それは、私たちを日常的に取り囲んでいる「市民的現実」の破壊であり、外部からの侵略であると、千坂恭二は言う(千坂[2010])。是々非々の立場取りや条件付き賛否などは、革命とは相容れない。これら議論≒説得可能性なるものは、相手と…

ハンナ・アレントの「一般意志」論

ルソーの「一般意志」論について考える上で、以下のような読解を引いて多くの人の目に触れやすくしておくことが、あるいは多少の意味を持つこともあるかもしれない。いささか長くなるが、ご容赦を願いたい。 このような多くの頭をもつ一者をつくりあげるため…

政治学者による現状分析と「未来予想図」

参院選投票日が直前に迫りましたので、ツイッターを中心とした政治学者の方々の議論を紹介する形で、軽く更新しておきます。 まず、先月初め時点での、菅原琢さんの分析を中心とする議論。 「政治学者、「政局」を語る1(2010.6.4-5)」 菅原さんは、この後…

フランス自由主義の両義的位置――三浦信孝編『自由論の討議空間』

三浦信孝編『自由論の討議空間――フランス・リベラリズムの系譜』勁草書房、2010年 「フランス自由主義」なる言葉遣いは,聞く人を怪訝にさせるかもしれない.まるでそれは語義矛盾であるかのように,「フランス」と「自由主義」が寄り添って私たちの会話の中に…

リバタリアニズムとは何か

最近、NHKで放送されているマイケル・サンデル氏の講義と、それに並行した宮台真司氏の「解説」によって、リバタリアニズムへの関心が一部で高まっているように見えます(見えるだけかもしれません)。 「【追補しました】リベラリズム・コミュニタリアニズ…

シュティルナー論文2本公開

本日、『情況』3月号に掲載されたマックス・シュティルナーについての論文「エゴイズムの思想的定位――シュティルナー像の再検討」のpdfファイルを私のHPで公開致しました。ご関心の向きは、是非ご一読・ご利用を頂ければ幸いです。また、それと同時に、本論…

公訴時効廃止に何を見るべきか

先月末、重大な罪の公訴時効を廃止・延長する内容を含む改正刑事訴訟法および改正刑法が成立した。これに伴って全国犯罪被害者の会(あすの会)が発表したコメントによれば、今次の改正は「犯罪被害者の多年にわたる悲願」である。だが、『法律時報』5月号で…

憲法の機能をめぐる認識のズレ

憲法記念日であるので憲法をお題に何か書くことにしますが、さして詳論したいと思うことも無いので、あまり指摘されていないと思うことだけを、なるたけ簡潔に話します。 左派的な立場から憲法が論じられるのを見聞きすると、「そもそも憲法とは国家権力を縛…

ポストモダンにおけるデモクラシーの価値――宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』

宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』岩波書店(岩波新書)、2010年 〈私〉時代のデモクラシー (岩波新書)作者: 宇野重規出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/04/21メディア: 新書購入: 10人 クリック: 174回この商品を含むブログ (63件) を見る 吉田徹…

エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』抜粋

フランス革命についての省察〈上〉 (岩波文庫)作者: エドマンドバーク,Edmund Burke,中野好之出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/07/14メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (21件) を見るフランス革命についての省察〈下〉 (岩…

「熟議に基づく教育政策形成シンポ」傍聴記

4月17日に文部科学省内の講堂で開催された「熟議に基づく教育形成シンポジウム」を傍聴してきましたので、その模様について、気付いたことや個人的な感想を簡単に書き留めておきたいと思います。

「アメリカ化」する日本の政治学

北田暁大氏による最後の編集号となった『思想地図』vol.5には、巻頭の野中広務氏を迎えたシンポジウム記録をはじめとして多数の興味深い論考が掲載されていますが、私がとりわけ広く読まれて欲しいと願うのは、特集の末尾に収められた「「アメリカ化」する日…

リスク社会における公共的決定2――「トンデモ」批判の政治性と政治の未来

今日は少し、色々な文脈を縫い合わせるようなお話をしてみたいと思います。例によって長いですが、ご関心の向きはしばしお付き合い下さい。

つぶやき政治学

1月末のエントリでtwitter利用について書きましたが、その後だいぶ慣れまして、tweetもニュースばっかりじゃなくなってきました。フォローとリストの使い分け方なんかも徐々に上手くなってきた気がします。昔こんなことも書きましたし、実際その内容が妥当だ…

「情報戦時代」の本当の意味――ポスト・ヘゲモニーの時代

「情報戦」などという言葉はチープに響くが、その奥に読み込むことのできる意味は重い。今日は、そういう話をしてみたいと思う。

エゴイズムの思想的定位――シュティルナー像の再検討

現物が届いたので、告知します。雑誌『情況』最新号(2010年3月号)に、マックス・シュティルナーの基本思想についての拙論文「エゴイズムの思想的定位――シュティルナー像の再検討」が掲載されています。 情況 2010年 03月号 [雑誌]出版社/メーカー: 情況出…