2008-01-01から1年間の記事一覧

現代日本社会研究のための覚え書き――目次

一応折り返したかなと思うし、テーマと順番がほぼ決まったので、目次を作ってみました。新しいものを書くに従って更新していきたいと思います。これまで、書いた順に通し番号を付けてきましたが、これを機に、新しくアップするものには番号を付けないことに…

現代日本社会研究のための覚え書き――7.教育

今回は短め、です。その分、増補の余地が大きいと思われ、ます。特に90年代以降については、もう少し勉強&検討が必要かと。

民主主義の機能における二重性と存在における二重性

データ整理していたら、2年前に書いたレポートを見つけたので、載せてみる(表題はレポートママ)。最近はシリーズもの以外は司法関連の話題が多かったので、久し振りにデモクラシーのネタもいいでしょう。内容的には、これだけでは毒にも薬にもならないよう…

犯罪報道に実名など要らない

少年法第61条に関して、柔軟な運用を求める立場がある。要するに、少年犯罪でも場合によっては実名報道したってよいではないか、という主張である。 その論拠は大まかに言って3つ程あるだろうか。 (1)マスメディアには表現の自由が、国民には「知る権利」が…

現代日本社会研究のための覚え書き――6.セキュリティ/リスク

予告通り書いたけど、長いよ。長すぎる。えらい時間かかったが、ようやく形になった。細かい部分で不備がたくさん残されているとは思うけど、ひとまずアップしておく。いちいち全体を見返すのもダルイ。後日、直せれば直そう。この後は、多分「教育」「経済…

現代日本社会研究のための覚え書き――5.親密圏/人権

「権利意識」の拡大によって社会が変わっていると主張すると、いかにも頼りないように見えるけれども、これぐらい大きく、それなりに幅広い文脈の中で主張すれば、説得力が出るだろうか。下の文章は、「自由と管理」などで言ったことを、もう少しきちんと言…

続・「刑罰は国家による復讐の肩代わり」という神話

未だ当たっておくべき文献は残っているのだが、もとより論文を書くわけでもないし、それなりに文献を渉猟する中で既にある程度言えることも出て来たので、ひとまず書いておくことにしよう。なお、本エントリは以下の二つのエントリの続きとして書かれるので…

現代日本社会研究のための覚え書き――4.市民社会

今回は未だ内容がスカスカで、ストーリーもできていないしキーワードも出てこないのだが、どうせ覚え書きなので箇条書きが混在する形でひとまずアップしてみる。このテーマでは、ネット上の情報に頼って書けるのはこの位が限界かな。データ類は十分ではない…

個と個人主義

松尾匡さんのページで言及を頂いたのに応えて、シュティルナーと個人主義についてのコメントを返させて頂いた。多くの人をおいてけぼりにしそうなテーマと内容なので、補足として拙文を載せておく。上は修論、下は前掲の未発表論文から。本当は早くこっち方…

現代日本社会研究のための覚え書き――2.スピリチュアル/アイデンティティ(第2版)

扱うトピックは概ね決まり。既に書いた「家族」「メディア」「スピリチュアル/アイデンティティ」(改題)の他、「教育」「経済」「市民社会」「人権/親密圏」「セキュリティ/リスク」「政治/イデオロギー」「ネーション/国家」の10編で、さらに序論と…

「刑罰は国家による復讐の肩代わり」という神話

さて、藤井誠二『殺された側の論理』(講談社、2007年)に収録されている座談会で、小宮信夫が「中世の時代は被害者に復讐する権利や決闘という方法」があったけれども近代国家になると被害者からは力が奪われて、「当初は被害者の代わりに国が復讐する役割…

被害者が負うもの・負わないもの

殺された側の論理 -犯罪被害者遺族が望む「罰」と「権利」作者: 藤井誠二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/02/27メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 52回この商品を含むブログ (27件) を見る 藤井誠二が犯罪被害者に密着し過ぎていることは既に明らか…

シュティルナーを疎外論的に読む誤りについて

「はだかの王様」の経済学作者: 松尾匡出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2008/06/06メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 136回この商品を含むブログ (37件) を見る svnseedsさんのところとコメント欄の著者コメントを見て気には留めていたが、ようや…

事実・想像・理論と、その周辺

1.「言説を紡ぐ/に対する態度」の補足として。 北田 さっきの脳の話で言うと、斎藤環さんがお怒りになっていた「ゲーム脳」論がありました。斎藤さんの反論はおそらく正しい。しかし、問題は斎藤さんを無条件に支持する人たちです。たぶん斎藤さんを支持す…

現代日本社会研究のための覚え書き――3.メディア

今回も、もの凄く長い。例えば「事実が必要とされない理由」などが読まれるときに併せて読んでもらえるとよいと思うのだが、そんな物理的手間をかけてくれる人は少ないかな。でも、このシリーズは1回がだいたいこのぐらいの長さになりそう。家族の時は落合・…

つまんない

黙りたまえ、それが望みならば http://d.hatena.ne.jp/font-da/20080615/1213500136 このレベルでの応答が来てしまった。font-daさんにはmojimojiさんや野崎さんとは少し違った視点があるので、もっと何か別のものを期待していたが、どこかで見たような文言…

暴力とは何か

ところで、暴力的であるとか、暴力性などについて論じるのはいいのだが、こういう議論をしていると一般的な感覚で言う「暴力」の意味との乖離が生じてきて、人文社会科学的な議論への日常的な接触を持たない人にはとっつきづらくなり、コミュニケーションの…

語りへの暴力的な欲望

例えばデリダは、既存の法を個別の事件にそのまま適用することは、正義ではないと言った。判決の産出/算出を一般化可能なプログラムの作動に任せるとすれば、裁判官は機械でしかなくなり、法廷で行われるのは計算に過ぎないことになる。正義に適うのは、既…

現代日本社会研究のための覚え書き――1.家族(第2版)

前回はスピリチュアルについて書いたが、「私らしさ」「個性」の希求や「自分探し」などについて言及するのを忘れた。増補の機会に盛り込みたい。今回は家族についての増補改訂版であり、第1版と認識が変わっているところもある。かなり長いので、注意された…

現代日本社会研究のための覚え書き――2.スピリチュアル

前回の「覚え書き」は第一回目で手探りということと、駆け足で書いたために手元に在った情報を詰め込むだけで手一杯だったということもあり、「覚え書き」にしても、極めて不十分なものに留まっている。これではいかんということで参考文献を読み直すなどし…

現代日本社会研究のための覚え書き――1.家族

跳躍のためには地盤が要る。飛躍のためには助走が要る。全てを見極めてから跳ぼう/飛ぼうとすれば黄昏になるまで待たねばならないが、直感/直観だけで跳ぶ/飛ぶのは瞬間的に快を覚えるだけだろう。再帰的近代化論やポストモダン論は社会の変化を語ってお…

「動物化」論は若者論ではない

後藤和智「宮台真司、東浩紀――若者の「理解者」こそ若者の「敵」 インチキ「若者」論の元凶はコイツらだ!!」『m9』第1号(晋遊舎、2008年4月)では、東浩紀の「動物化」論が、おおまか以下のような特徴付けをされ、「若者論」として捉えられている。 (1)…

怒られました

前々回のエントリに対して、後藤和智さんから言及を頂いております。トラックバックが送れなかったそうだということに加えて、コメント欄で赤木智弘さんに叱られたということもありますので、こちらのサイトから明確にアクセス経路を確保しておきます。 さす…

非人格的権力再考

昨日のフォローとして、少し引用。 何はともあれ、間違いのないことは、初期自由主義は、みずからを、個人の神聖さと独立性との擁護を目的とする哲学であると宣言していたことである。ところで、一体誰に対して、個人は擁護されるべきであったのか。こう問い…

田村・東・稲葉、徒然に

熟議の理由―民主主義の政治理論作者: 田村哲樹出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2008/03/25メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 316回この商品を含むブログ (38件) を見る 久し振りに、本屋らしい本屋に行けた。そこで、田村さんの新刊を手に取る。収録論…

死刑制度に反対する個人的な理由

光市の事件の判決があって、色んな人が死刑について書いている。私も死刑については幾らか書いてきたことがあるから、そういうものを読んでふーんと思ったり、その主張で大丈夫?と思ったりするんだけど、なーんか物足りない。ああ、そうか、お行儀が良すぎ…

東的国家観について

大澤真幸『逆接の民主主義』(角川書店:角川oneテーマ21、2008年)の酷書評を書こうかと思ったのだけれど、それより東浩紀のエントリに触れた方が面白そうだし、生産的な気もするので、そうする。過去のエントリも含めて挙げる。 シンポに向けてのメモ http…

かかわりあいの政治学1――自己決定論をさかのぼる

自由とは自分のことについての自由であり、自己決定とは自分のことについての決定である。そうでないと意味をなさない。また、他人が自分のことを決めてよいとなったら、むしろ反対の意味になってしまう。 さて、障害の有無であれ性別であれ、ある性質の子を…

安全と国家

公法研究 2007年 10月号 [雑誌]出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2007/10/12メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 昨日図書館で見かけて、面白い特集していると思ったが、時間が無くてパラパラとしか見られんかった。ので、メモ。「安全の中の自…

選挙制度の理念と設計

日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか (中公新書)作者: 加藤秀治郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2003/03/01メディア: 新書購入: 3人 クリック: 105回この商品を含むブログ (39件) を見る 理念から制度まで説明した良い本だと思う(ただ、せっか…