2006-01-01から1年間の記事一覧

神と正義について・5

2006/08/24(木) 10:57:48 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-254.html (承前) 来たるべき民主主義 デリダは、主に講演やインタビューにおいて、自身の否定神学的正義論を丁寧に展開してくれている(デリダ自身が自らの主張は否定神学には還元されない…

神と正義について・4

2006/08/16(水) 11:31:54 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-253.html (承前) 政治的なるものの消去不可能性 丸山は、一面では現行秩序の擁護者であった。それは、丸山が秩序の破壊者(マルクス主義者、新左翼、誰でもいい)に対しては政治的に振舞っ…

九条の護衛者たち(四)

2006/08/13(日) 19:39:17 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-270.html (承前) 啓蒙主義的護憲論 高橋哲哉もまた、渡辺や愛敬と同様に「支配層」の思惑を過大視する。高橋は、国家の戦争とは、「国家の権力者たち、そして彼らと利益を共有する者たちが…

九条の護衛者たち(三)

2006/08/11(金) 17:09:59 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-262.html (承前) 現実主義的理想主義的護憲論 現代の護憲派を理論的側面でリードしている渡辺治は、大塚のような理想主義的な護憲論と、内田や長谷部のようにある程度現実を容認するような…

九条の護衛者たち(二)

2006/08/09(水) 19:26:07 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-265.html (承前) 二つの現実主義的護憲論 大塚のように「武装か、非武装か」という選択を迫るのは子どもの論理だと言うのは、内田樹である(以下、内田の主張は全て内田樹ほか『9条どうで…

刑法39条を擁護してみる

2006/08/08(火) 19:37:58 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-271.html 刑法第39条「①心神喪失者の行為は、罰しない。②心神耗弱者の行為は、その罪を減軽する。」 この条文は近年激しい批判にさらされているが、私にはどうも改正する必要が強く感じられ…

九条の護衛者たち(一)

2006/08/07(月) 18:49:38 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-264.html はじめに しばらく前に、たまたま目に留まった討論番組で社民党の福島みずほがコスタリカを引き合いに出して安全保障についての持論を展開しようとしていた。していた、というのは…

黙祷と吐き気

2006/08/06(日) 14:22:58 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-269.html 8月6日ということで早めに起き、テレビの前で黙祷を済ませてから朝食を摂る。別に毎年こうであるわけではないが、できれば黙祷ぐらいはしたいと思っている。小学生ぐらいだったの…

靖国再論、するまでもない

2006/08/04(金) 22:06:32 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-263.html 靖国問題は相変わらず空転している。細部についてはともかく、私の基本的な意見はこちらに書いた通り変わらない*1。とりあえず無宗教の国立追悼施設をつくればいいじゃん。千鳥ヶ淵…

神と正義について・3

2006/08/01(火) 14:02:14 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-252.html (承前) 民主主義の永久革命 ここで丸山眞男の、それ自体としては正義論とは言い難い議論を取り扱うのは、下地の議論を通して見たような否定神学的正義論の構造が広く共有されてい…

神と正義について・2

2006/07/24(月) 15:47:29 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-250.html (承前) 批判的合理主義の正義論 では、相対主義を乗り越えて何らかの正義を立ち上げる試みとして、下地真樹「批判的合理主義の正義論」(『情況』2006年5・6月号)を取り上げよう…

国民代表の独立性と拘束性

2006/07/20(木) 00:27:42 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-251.html 以前、選挙制度と政党という非常に拙く冗長なエントリを書いたことがある*1。やたら長いので今更改めて読む気もしないが、結局その後そこで扱ったような議論が活発になされることは…

神と正義について・1

2006/07/17(月) 16:47:13 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-249.html 相対主義的民主主義 思想はすべからく相対的であり、神々は延々と争って止めない。このような世界でも神や正義について未だに真剣に考えている人々がいる。せっかくだから少し彼ら…

ほんとうにおめでたいのはだれか

2006/07/14(金) 03:02:40 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-248.html むしろ自己消失(自己忘却)こそ、役柄や世界劇を見事に生きるための前提。そのためいつのまにか、役柄存在者である自分をほんとうの自分だと思いこむ。こうなれば、二重忘却状態に…

ゼミナリステン諸君へ

2006/07/08(土) 22:54:23 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-246.html ローカルなネタを一つ。と言うより、ローカルなのかい?という話。 「ゼミテン」という言葉を使う/使ったことがあるだろうか。「ゼミナリステン Seminaristen」(ドイツ語で「ゼミ…

個体的「所有意識」の発生

2006/06/17(土) 18:33:21 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-239.html 以前、所有については最近ご無沙汰だと書いたが、全くやっていないかと言うとそうでもない。別に所有だけが目的じゃないが、4月から細々と民法(総則、物権)の勉強もしている。学…

マックス・シュティルナー研究日本語文献目録―分野別

**(2009.11.15)当目録の更新は以下のページに移行しております。最新版はそちらをご覧下さい。http://sites.google.com/site/politicaltheoryofegoism/stirner/bibliography2 *目録については随時更新していくため、アーカイブ形式は採りません。 2006/…

マックス・シュティルナー研究日本語文献目録―年代順

**(2009.11.15)当目録の更新は以下のページに移行しております。最新版はそちらをご覧下さい。http://sites.google.com/site/politicaltheoryofegoism/stirner/bibliography1 *目録については随時更新していくため、アーカイブ形式は採りません。 2006/…

神々の争いと無限の「他者」

2006/06/05(月) 22:47:43 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-234.html 「僕たちと一緒(いっしょ)に乗って行こう。僕たちどこまでだって行ける切符(きっぷ)持ってるんだ。」 「だけどあたしたちもうここで降りなけぁいけないのよ。ここ天上へ行くと…

シュティルナーとアイロニーについて

2006/05/22(月) 00:22:54 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-228.html 左翼には(ますます)評判の悪い仲正昌樹。彼の新刊から少し引いてみる。 既に述べたようにアイロニーとは、「ある客体Xを把握したと思い込んでいる主体Yの姿勢」について、Y自…

修復的司法批判メモ

2006/05/15(月) 22:40:35 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-224.html 修復的司法についてはずっと勉強したいと思っているが、未だに基本的なことすら勉強できていない。宮台真司が上野千鶴子による修復的司法の持ち上げを批判しているので、メモとして…

イスラーム戦争の時代の憲法とは何か

2006/05/08(月) 22:35:47 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-220.html 内藤正典『イスラーム戦争の時代』NHKブックス、2006年。 実質三分の一ぐらいしか読んでいないが、良い本である。 もちろん、この本一冊でどうのこうのなるという話では有り…

飯を食わねばならぬみじめさ

2006/05/04(木) 22:46:37 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-221.html 若者論の大枠は「学びからの逃走・労働からの逃走」というトレンドが心理的な問題(若者の内面の問題)なのか、経済的な問題(雇用の仕組みの問題)なのかという対立に収斂している…

酒井おばさんと池内ボッチャン

2006/04/30(日) 14:39:13 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-218.html たぶん、一ヶ月ぐらい前だろうかと思うのだが、池内恵と酒井啓子の対立構図について書こうとしたことがある。手違いで下書きが消えてしまって、改めて書く気を喪失したので結局流れ…

stakeholder@国際政治

2006/04/26(水) 01:10:52 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-216.html 何だかややこしい話になっている。一応取り上げておきたい。 昨年来、米国が、中国に対して「責任あるステークホルダー」たることを求めている。 この言葉を最初に発したのはゼーリ…

なぜ豆腐を食べてはいけないのか

2006/04/21(金) 23:28:24 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-215.html 戦争が行われる。あなたはそれを非難する。 君は、彼がただ川の向こう側に住む人だという理由で彼を殺してよいと考え、彼女がただ川のこちら側に住む人だという理由で彼女を殺して…

自由と民主主義を諦める

2006/04/12(水) 18:57:24 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-210.html 民主主義=多数決という考え方ほど安易なものはない、という批判ほど安易なものはない。民主主義の根元にあるものがよく解っていないか、あるいは意図的に無視している。 人民主権…

個人主義的アナーキズムは無かった?

2006/04/08(土) 23:44:27 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-209.html シュティルナー関連で検索かけてたらタナカさんのブログを発見して、およよ。 恥ずかしながら、本当に今日まで知らんかった。何でだろう。 遡って読んでみると、私のエントリが論駁…

自己目的性の追求が非人間性を呼び込むことについて

2006/04/02(日) 23:29:25 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-199.html 以下、東浩紀・大澤真幸『自由を考える』(NHKブックス、2003年)より引用。 今、2ちゃんねるの例が出ました。それはコミュニケーションの一種なんだけれど、ほとんど内容…

ポストモダンを超えるポストモダン

2006/03/31(金) 17:59:40 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-205.html というわけで、大澤真幸『思想のケミストリー』に収録されている「<ポストモダニスト>吉本隆明」を読んでみたところ、非常に勉強になった。まずは純粋に吉本思想について学ばせて…